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妖怪たち [オークション]

月曜日から、俺は、オークション落札者との連絡掲示板による連絡、銀行への入金確認、商品の発送とわりと忙しく過ごしていた。
当然、会社のデスクでも、手が空くとオークションサイト、銀行サイトと覗いていた。
そんな時、ふと、視線を感じた。
すると、こちらを妖怪部隊の怪獣ブースカがこちらを見ていた。
妖怪部隊とは、会社にいる事務部隊のことである。
俺達、直販部隊とは異なり、俺たちの部署の雑務を行う部隊のことであり、昔、ひと悶着あったことがあり、俺とは犬猿の仲である。
桑野という課長を筆頭に、2チャンネル住人一派である。例のシステム部とも仲が良いため俺はこう呼んでいる。
桑野っていう課長は、昔、黄金バットに出てきた宿敵暗闇バットにそっくりで、金縁のいやらしいメガネをかけていることから、俺は、「ガイコツ」と呼んでいる。
怪獣ブースカっていうのは、下野っていう最近入社してきたデブで、いつも何か食べている。そのせいか、分厚い唇がいつも濡れていて、しゃべると唾が飛ぶ。そのうえ、いつも汚い毛糸のチョッキを着ているのだが立ち上がると腹の上にまくれ上がる。
後二人いる、一人がやたら背が高いのだが、日和見でいつも立場の強い奴の味方になる。仕事はとんでもなく出来なく、いつも他人(上司)の目を気にして、ビクビクしている堂見っていう名前の奴で、俺は、こいつを「にょろにょろ」と呼んでいる。
もう一人は、会社では、ほとんど口を利かないのだが、見た目は妖怪人間のベロのように痩せていて小さいのだが、手が長い。そして顔なのだが、黒縁めがねをしていて、竹中直人がまねする、遠藤周作にそっくりである。名前は???忘れた。こいつのことは、妖怪人間と呼んでいる。
この4人、とにかに自分のことは棚に上げ、他人のやることを中傷するのが大好きな連中である。
直接言うのであれば、まだたちがよいのであるが、部長に告げ口をするという最悪な連中なのである。
俺の場合、部長が見放しているから問題はないのだが、ただし仕事だけは誰にも負けないようにこなすため、たいていの事は、「やりたいようにやらせておけ!」と言っているらしく被害は少ない。
ブースカが寄ってきた。
「榊原くぅん。会社のインターネットで私用をするのは、よくないよぉ。」
また、唾が飛んだ。
「この間、俺にはかかわるな!って言わなかったっけ!」
俺は、睨みつけて低い声で言い放った。
ブースカは少しひるんだが、ニヤニヤしながら、
「そんなこと、言ってると誰も相手してくれなくなるよぉ。」
右手を見ると、ポテチを食っていたのか、指先がテカテカになっている。
「それが、望みなんだけど!!」
俺は、今度は大きな声で叫んでやった。
ブースカがポカンとした顔をしているので、もう一度、
「聞こえないのかよ!俺は、誰にも相手にされなくなるのが目的なんだよ!特にお前らにはかかわってほしくないんだ!!」
さっきより、大きな声で言ってやると、静かだったフロワーがザワザワ仕出し、皆がこちらの様子を覗き見だした。
ブースカのチームから、ニョロニョロがこっちを見ている。
ブースカは、やっと周りの状況に気が付き、理解できないという顔で俺を見て、頭をかきながら自分の席に戻って、するめを食いちぎっていた。
邪魔者を片付けた俺は、銀行サイトで本日の入金額と入金者を確認すると、会社のメールから、自宅のメールにその状況をメールにして出し、定時までに仕事を片付けると、さっさと帰ろうとドアを開けようとした。
「あ~あっ、今日も21時くらいまではざんぎょうだなぁ。」
こっちを横目に見ながら、ニョロニョロが叫んだ。
「その時間までいるって決まっている残業ってなんだぁ?」
俺は、わざと聞いてやった。
ニョロニョロは、聞いてくるとは思っていなかったらしく、モニター画面を直視したまま固まっていた。
「生活残業ってことぉ?俺は、仕事終わったら、さっさと帰る主義だから!」
ガイコツ課長が立ち上がりかかったが、無視し俺はその妖怪部隊を一瞥し、ドアを開け出て行った。

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